登録支援機関や監理団体は、外国人の生活や就労を支える大切な存在です。全国の多くの機関が制度に則り、適正な支援を行っていることは言うまでもありません。
そのうえで、法令との境界が曖昧になりやすい場面では、行政書士との連携や業務範囲の確認が、より安全で信頼される支援につながります。
🏢 登録支援機関と監理団体の違い
| 区分 | 登録支援機関 | 監理団体 |
| 対象制度 | 特定技能 | 技能実習 |
| 法的性格 | 営利法人も可 | 非営利法人(協同組合等) |
| 主な役割 | 外国人の生活支援 | 実習実施者の監督・支援 |
| 管轄官庁 | 出入国在留管理庁 | 出入国在留管理庁 |
2025年6月時点で、登録支援機関は全国に約10,330件、監理団体は約3,000〜4,000団体と推定されています。
📋 行政書士法違反となる「書類作成」とは?
行政書士法では、官公署に提出する書類の作成・代理・提出は、行政書士または弁護士に限られています。これには以下のような書類が含まれます。
• 在留資格申請書類(入管庁)
• 技能実習・特定技能関連の届出(各省庁)
• 外国人雇用に関する報告書類(労働局など)
登録支援機関や監理団体がこれらの書類を報酬を得て作成や代理申請することは違法ですが、本人が作成した書類を、申請取次者として認定されていれば、本人作成の書類を提出する「取次」は可能です。
登録支援機関が行うべき「支援」の委託には,行政への書類手続が含まれておりません。それは生活支援の範囲であり,あくまで「プラスで取次」もできる制度となっております。「書類作成をして別費用(支援費)として「報酬」を得ている」とみなされることについて行政の解釈がされております。つまり,別名目で受け取っていても違法性に変わりはないということです。
🏛 関係省庁と提出先の例
| 提出書類 | 提出先 |
| 技能実習計画認定申請 | 外国人技能実習機構 |
| 支援計画書 | 出入国在留管理庁 |
| 分野別届出(例:建設分野) | 国土交通省 |
| 実習実施者届出 | 厚生労働省・技能実習機構 |
| 監理団体許可申請 | 外国人技能実習機構 |
これらの書類はすべて「官公署への提出書類」に該当し、行政書士法の対象となります。無資格者が報酬を得て作成・ 提出することは違法です。登録支援機関や監理団体が関与する場合は、助言・同行・翻訳支援に留め、書類作成は行政書士と連携することが原則です。
🏢 監理団体ができること・できないこと
| 行為 | 可能か | 備考 |
| 本人作成の書類を提出(取次) | 条件付きで可能 | 申請取次者として認定されている場合に限る |
| 書類の作成・署名代行 | ❌ 違法 | 行政書士法違反(無資格業務) |
| 雛形の提供・記入補助 | ⚠️ 注意 | 実質的な代筆とみなされると違法になる可能性あり |
| 生活支援・相談対応 | ✅ 合法 | 業務範囲内(オリエンテーション、同行など) |
⚠️ よくある違反例とリスク
• 「本人が作成したことにする」:実質的に支援機関が作成し、本人に署名させる
• 「アドバイス」と称して代筆:雛形を完成させて渡す
• 監理団体が技能実習生の申請書類を主導して作成
これらは形式上「本人作成」に見えても、実質的な代行・報酬の受領があれば違法と判断される可能性があります。また
⚖️ 行政書士法違反の罰則
• 懲役刑または100万円以下の罰金
• 名義貸しをした行政書士も処分対象
• 加担した企業や人材会社も共犯となる可能性あり
💡 適正な対応とは?
• 支援機関は「助言・同行・生活支援」に留める
• 書類作成が必要な場合は、行政書士と明確に連携
• 外国人本人が不安な場合は、多言語記入支援ツールの整備が有効
🧭 最後に
登録支援機関や監理団体は、外国人の生活や就労を支える重要な存在ですが、法的な業務範囲を超えると罰則の対象になります。制度を守りながら、安心・安全な支援体制を築くことが、企業・外国人・支援者すべての利益につながります。