(1)深刻化する人手不足と企業の課題

 日本では今後、生産年齢人口の減少が一段と進み、特に地方では採用難が常態化しています。こうした状況の中で、外国人材の活用は企業経営を支える現実的な手段となりつつあります。
 一方で、「制度が複雑そう」「定着しないのでは」といった不安から、導入をためらう企業も少なくありません。

(2)今、外国人雇用に取り組むべき3つの理由

 外国人雇用は早く始めるほど、企業にとって多くのメリットがあります。
1.人材確保のチャンスが広がる
 人気の高い国籍・人材は都市部や他国に流れやすく、早期に受け入れることで安定した採用が可能になります。
2.文化・雇用慣習への理解が進む
 国や地域によって雇用慣習が異なるため、早期の受け入れを通して社内の対応力やマネジメント力を育むことができます。
3.制度移行への備えができる
 2027年度に始まる「育成就労制度」に円滑に移行するためには、現行の技能実習制度での受け入れ経験が大きな強みとなります。

🆕「育成就労制度」とは(2027年度開始予定)

 新制度は、これまでの技能実習制度に代わる仕組みとして、外国人の育成と職場定着を重視しています。主な特徴は次の通りです。
 ✅職場の転籍が可能に
  一定の条件を満たせば、外国人本人の希望による転職が認められる方向で検討されています。
 ✅転籍の条件(予定)
  ・同一業務区分であること
  ・一定の育成期間(通常1年以上)を経ていること
  ・昇給制度や資格取得などの実績があること
  ・技能検定(基礎級)と日本語能力試験(N4以上)に合格していること
  ・転籍先が適切であると認められること
  ・転籍元が負担した初期費用を転籍先が負担すること(標準額を公表予定)が想定されています。
 ✅地方から都市部への人材流出リスク
   待遇面や支援体制が整っていない企業では、制度変更後に人材が都市部へ流出するおそれがあります。

⊂行政書士としてのアドバイス⊃
 ✅「慎重な企業」ほど、いま動くべき理由
  「準備ができてから」と考える企業もありますが、外国人雇用は実践を通じて初めて理解できる部分が多い分野 です。受け入れ体制の整備や社員教育には時間を要するため、今のうちから技能実習生の受け入れを経験しておくことで、将来の育成就労制度への移行がスムーズになります。 

 特に郡山市のような地方都市では、都市部への人材流出が懸念されます。だからこそ、地域に根ざした受け入れ体制づくりと、企業・行政・専門家が連携した支援の仕組みが今後の鍵となります。

入管手続×郡山×VISA|行政書士たかはし法務事務所