〜どの許可が相続承継できて、どの許可が失効するのか〜

 事業者が亡くなったとき、許認可が相続できるのか、それとも失効してしまうのかは業種によって大きく異なります。
 ここでは、個人事業主と法人それぞれの相続時の取り扱いを分かりやすくまとめました。

👤 個人事業主でも相続による承継が認められる許可 
 相続人が一定期間内に承認申請を行えば、事業を継続できる許可です。
✅建設業許可
 被相続人の死亡後 30日以内 に「相続による承継申請」を行うことで継続可能。
✅旅館業許可
 相続人が 承認申請 を行うことで承継可能(目安は30日以内)。
✅風俗営業許可
 相続人が欠格事由に該当しない場合、死亡後 30日以内 に承認申請が必要。
✅薬局開設許可など一部の医療関連許可
 相続人による承認申請で承継可能なケースがあります(自治体によって運用差あり)。
✅飲食店営業許可
 食品衛生法の改正により「地位承継届」が可能となり、遅滞なく届出を行えば承継可能(実務上は速やかに、概ね30日以内)。

🏢 法人でなければ相続による承継ができない許可
 個人事業主が亡くなると 許可が失効してしまい承継できない業種です。
 事業を継続するには 法人化して新規許可を取り直す必要があります。
✅古物商許可
✅運送業(貨物自動車運送事業許可)
✅介護事業指定(訪問介護・通所介護など)
✅医療法人の診療所開設許可
✅宅地建物取引業免許
✅廃棄物処理業許可
✅酒類販売業免許
✅飲食店営業許可・美容所・理容所(自治体によって例外あり)
 これらは 個人では相続承継不可 のため、継続性を重視する場合は法人化しておくことが有効です。

🏢 法人の場合のポイント
 法人が許可を保有している場合は、許可は「法人」に帰属するため、代表者死亡=許可失効にはなりません。必要なのは以下の届出だけです。
●代表者変更届
●役員変更届
 法人の場合は、相続や事業承継が比較的スムーズに行える点が大きなメリットです。

 許認可の中には、「死亡後30日以内」など非常に短い申請期限が定められているものもあります。

🔧 期限に間に合わないとどうなるのか?
❌ 1. 許可が失効し、事業が継続できなくなる
❌ 2.無許可営業と扱われ、行政処分の対象となる
❌ 3. 新規許可の取得には時間がかかり、売上の空白期間が発生
❌ 4. 引き継ぐ側(相続人)の生活や従業員の雇用に影響

 必要書類も多く、生前に準備をしていないと、相続発生後に大きな負担になることが少なくありません。そのため、
📌できれば生前のうちに“事業譲渡”を検討しておく
📌承継に必要な書類・許可証を生前から整理しておく
📌法人化しておくことで承継リスクを下げる
といった準備が非常に重要になります。
 行政書士としては、相続発生後の手続にも迅速に対応できますが、より円滑で確実な承継のためには、生前からの準備が最も効果的です。
 許認可をお持ちの個人事業主の方は、早めに専門家へご相談いただくことで、事業を守り、家族の負担を軽減することにつながります。

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