私たちは、戸籍をたどることで、自分につながる人々の人生を静かに振り返ることができます。中でも、養子縁組や早世の記録には、時代や家族のあり方が映し出されています。
(1)養子縁組の背景とその後
かつては、特に男子が生まれなかった家庭で、跡継ぎとして養子を迎えることが一般的でした。私の人生の中でも、「自分は養子だった」と話す方には、ほんの一度しか出会ったことがありません。
一方で、養子縁組ののちに離縁する例も少なくなく、特に婿養子の場合は、離婚とともに関係が解消されることもあります。実子とは異なる関係性の中で、養子と養親との間に特有の難しさがあったのかもしれません。血縁ではなく“縁”でつながる家族には、深い絆とともに、繊細な配慮が求められる場面も多かったのではないでしょうか。
(2)早世の記録から感じる命のはかなさ
戸籍の記録からは、その人がどのような人生を歩み、何歳まで生きたのかを知ることができます。長寿を全うされた方の存在には、思わず敬意が湧いてきます。一方で、幼くしてこの世を去った方の記録を見ると、その短い人生に胸が締めつけられるような想いになります。
興味深いのは、長寿だった方ほど、亡くなった日が戸籍に記録されていないことがある点です。結婚などにより除籍された後の追跡が難しくなるためです。それに対し、若くして亡くなられた方は、生涯が戸籍の中に静かに残されています。その事実が、どこか切なくも尊く、ひとりひとりの人生の重みを改めて教えてくれるのです。
家系図作成・入管業務|行政書士たかはし法務事務所