2024年4月より、「日本語教育機関の認定等に関する法律(通称:認定法)」が施行されました。本法律により、これまで「法務省告示校」として運営されてきた日本語教育機関は、文部科学省の所管のもと、新たに「認定日本語教育機関(認定校)」としての認定を受ける必要があります。ここでは、制度の背景や概要、スケジュール、そして行政書士が支援できるポイントについて整理します。

(1)認定制度の目的と背景

①教育の質の向上
 従来の制度は、外国人留学生の在留管理の観点から設計されたものであり、教育内容や教育水準の保証には限界がありました。新制度では、学習者の到達目標、体系的なカリキュラム、教職員体制などを重視し、質の高い教育提供体制の構築が求められます。

②多様化への対応
 学習者の国籍や学習目的が多様化する中で、教師の専門性や指導力も問われるようになっています。これに応じて、教員資格の国家資格化など、専門人材の養成制度も整備されつつあります。

(2)認定の対象・手続きとスケジュール

 認定の対象は、これまで「法務省告示校」として運営されていた機関です。これらの機関は令和11年3月31日までに文部科学大臣の認定を受けなければ、外国人留学生の受け入れを継続することができなくなります。認定申請は年2回実施される予定で、2024年度から申請受付が開始されています。認定されることで、文部科学省所管の「認定日本語教育機関」として、質の高い教育機関であることが公的に証明されます。

(3)認定基準と実施上のポイント

①教育課程の類型化と到達目標
 学習目的に応じて「留学」「就労」「生活」などの課程が区分されており、それぞれに適したカリキュラムや授業時間(原則35週以上、760時間以上/年)、学習者の*到達目標(例:CEFR B2レベル)が設定されています。

②入学者の選考と評価
 学習者の能力や学習意欲に応じた適切な選考が求められ、教育機関にはその根拠となる基準や評価体制の整備が必要とされます。

(4)登録日本語教員制度の創設

 これまで日本語教員として必要とされていた「日本語教育能力検定試験合格+420時間の研修修了」に代わり、国家資格としての「登録日本語教員」制度が新たに導入されました。
 この資格は「日本語教員試験の合格」と「実践研修の修了」により取得でき、文部科学大臣の登録を受けることで正式な資格となります。認定校では、こうした登録教員による教育体制が強く求められ、2029年までに体制整備を行うことが目標とされています

(5)制度運用上の留意点

①校地・校舎に関する条件
 認定を受けるためには、校地・校舎を原則として抵当権等の負担がない形で所有していることが必要です。ただし、教育活動に支障がないと認められる場合には例外的な運用が認められています。

②審査方式
 申請時には、書類審査のほか、面接審査や現地視察等を含む多面的な評価が実施され、総合的に認定の可否が判断されます。

(6)今後のスケジュールと対応

①最終申請期限
 繰り返しになりますが、認定申請の最終期限は令和11年3月31日です。実質的には令和10年度の春(2028年)の申請が最終機会となる見通しです。

②今後の準備
 制度への対応に向けて、各教育機関では早期に事前相談を行い、教職員体制・法的ガバナンス・教育課程などを見直す必要があります。特に認定取得のためには、校地の問題やカリキュラムの再構築、教員の資格対応など、多方面の準備が必要です。

⊂行政書士が支援できること⊃
 行政書士は、次のような面で本制度に関して教育機関をサポートすることが可能です。

支援内容概要
① 申請書類の作成支援認定申請書の作成、必要書類の整備、記載内容の確認
② 申請に向けたガイド手引き・基準の読み解き、スケジュール管理の助言
③ 各種契約書・規定の整備校地・設備関連契約書、校則や運営規定の整備支援
④ 教育運営体制に関する整備支援教員資格やカリキュラムに関する資料作成・アドバイス
⑤ 関係者向け説明資料の作成理事・経営層や教職員への制度説明資料作成の補助

 特に、法的視点での文書整備や校地・資産関連の契約確認、教育機関内の文書体制の整備について、行政書士は実務的かつ中立的な立場から支援を行うことができます。自分自身はこの制度に関して取り扱ったことはなく、日々自己研鑽を積まなければいけないという思いで掲載いたしました。

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