留学生が日本での就職を目指す際、最も大切なのは就職先に合った在留資格を選ぶことです。今回は、職種別に適した在留資格について解説します。

(1) 自動車整備士として働く場合

 <考えられる在留資格>
 ①「特定活動(46号)」在留資格➡他の在留資格にない場合に適用される例外的なケースです。
  【学歴】日本の専門学校卒業(専門士または高度専門士)
  【雇用条件】フルタイム(週30時間以上)、年収200万円程度以上が目安
  【備考】6か月または1年ごとに更新が必要
  ※就職活動中や例外的なケースに使われます。
 ②「技能」在留資格➡可能性あり。ただし要件が非常に厳しいです。
  【実務経験】原則10年以上(※海外での経験含む。専門学校の学習期間も一部加算される場合あり)
  【資格】自動車整備士資格があると望ましい
  ※多くの留学生は日本で初めて整備を学ぶため、この「技能」資格の要件を満たすのは困難です。
 ③「特定技能1号」在留資格➡試験に合格すれば、学歴がなくても可能
  【必要試験】技能試験+日本語試験
  【在留期間】最長5年
  ※留意点として、登録支援機関によるサポートが必要
 在留資格「特定技能1号」が現実的かと思われます。

(2) ホテルマンとして働く場合

 <考えられる在留資格>
 ①「特定活動(46号)」在留資格➡多くの専門学校卒業生が利用しています。
 ②「特定技能1号」在留資格➡試験(宿泊業技能測定試験+日本語試験)に合格すれば可
  ※登録支援機関のサポートが必要で、ややハードル高めです。
 ③「技術・人文知識・国際業務」在留資格➡該当するには業務内容に高度な専門性が必要です。
  ※「フロント業務」や「接客業務」は微妙? 業務内容が「単純労働」とみなされると不許可
  ※「企画」「マーケティング」「通訳・翻訳」など大学卒で外国語や国際関係を専攻した人向きです。
 在留資格「特定技能1号」が現実的かと思われます。

(3) 事務職・エンジニアとして働く場合

 「技術・人文知識・国際業務」が適用されます。
 【要件】専攻と職種の関連性があること
 【適用対象】ホワイトカラー職(開発・設計・マーケティング・事務など)

¶よくある誤解¶
 ・ホテルのフロントはホワイトカラーだから「技術・人文知識・国際業務」➡△(メイン業務による)
 ・英語を学んだから外国人対応は「技術・人文知識・国際業務」➡✖(外国語を使うだけでは不可)
 ・外国人対応に専門性があるから「技術・人文知識・国際業務」➡✖接客は技能職、専門性として取り扱われない

⊂まとめ⊃ 在留資格「特定活動」「特定技能1号」「技術・人文知識・国際業務」の違い
「特定活動」
 専攻分野との関連性は緩やかで業種は広範囲(ただし指定された内容のみ)です。入管の審査も比較的柔軟で、正社員のケースが多いですが、契約社員などでも「許可」されやすい。日本語力と学歴を活かした就労といえます。

「特定技能1号」
 そもそも人材不足分野への即戦力を求める在留資格のため、介護・外食・自動車整備など14分野の現業職のみに限定されます。「特定活動」と異なり「専門士」などの学歴要件は不要で、日本語要件も「特定活動」より厳しくありません。
傾向として契約社員が多いですが、技能と実務力を重視した就労といえます。

「技術・人文知識・国際業務」
 専攻との厳密な関連性が求められ、専門性のある職種に限定されます。入管の審査は比較的厳格で、原則、フルタイム雇用が必要となってきます

次回は、その他の業種について解説します!

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