在留資格「医療」は、日本の医療機関等において、医師・歯科医師・看護師・准看護師などの医療従事者として活動する外国人が取得できる在留資格です。外国人がこの在留資格を取得するには、日本の国家資格を取得していることが大前提となります。

(1)日本の学校を卒業した外国人が「医療」ビザを取得するには

 日本の専門学校・短期大学・大学に留学している外国人が、卒業後に「医療」の在留資格を取得して就労するためには、次の条件をすべて満たす必要があります。
 ・日本の医療系国家資格を取得していること
 ・病院やクリニック等の医療機関と雇用契約を結んでいること
 つまり、外国で取得した医療資格や職歴のみでは、「医療」の在留資格を取得することはできません。日本で指定された養成機関を卒業し、国家試験に合格する必要があります。

(2)学校種別ごとに就ける職種の例

 以下に、日本国内の教育機関別に、「医療」の在留資格で従事できる職種の一例を示します。
◉ 専門学校で取得可能な職種
 ・看護師(看護師国家試験合格が必要)
 ・准看護師(※実務上「医療」では認められない可能性が高い)
 ・歯科衛生士
 ・臨床工学技士
 ・診療放射線技師
 ・臨床検査技師
◉ 短期大学で取得可能な職種
 ・看護師
 ・保健師(看護師資格取得後に追加課程を修了)
◉ 大学で取得可能な職種
 ・医師
 ・歯科医師
 ・助産師(看護師資格取得後に専攻課程を修了)
 ・薬剤師(ただし、「医療」ではなく「技術・人文知識・国際業務」とされる場合が多い)

(3)医療に該当しない職種とその在留資格

 以下の職種は、在留資格「医療」には該当しませんので、注意が必要です。

職種主な内容該当する在留資格例
医療事務受付・会計など技術・人文知識・国際業務(専門性が必要)
介護福祉士介護施設での業務介護
施設介護職身体介助など特定技能(介護分野)
歯科助手器具準備・診療補助など原則就労不可(単純労働と判断)
看護助手看護師の補助業務原則就労不可
医療機関の受付電話対応・窓口案内など原則就労不可

 これらの職種は、国家資格が不要または医療行為に直接関わらないため、「医療」在留資格の対象外となります。

 外国人を「歯科助手」「看護助手」「医療受付」などの職種で雇用したいという相談は多く寄せられますが、これらは単純労働とみなされるため、原則として就労ビザが取得できません。特に「医療」や「技術・人文知識・国際業務」などの就労系在留資格では許可が下りにくく、更新も困難です。

 ただし、これらはあくまで就労系在留資格の場合です。例えば、「永住者」「日本人の配偶者等」「定住者」などの身分に基づく在留資格を持つ外国人であれば、原則として職種に制限はなく、これらの業務にも従事可能です。

⊂まとめ⊃
 在留資格「医療」で就労を目指す外国人にとって、日本での国家資格取得と、医療機関との雇用契約が不可欠です。一方で、国家資格が不要な職種や医療補助的な業務は、原則として「医療」在留資格の対象外となるため、職種と在留資格の適合性を正確に理解することが重要です。
 行政書士として外国人雇用や在留資格に関する相談を受ける際には、これらの区別を明確に伝え、適切な進路や雇用形態をアドバイスできるようにしましょう。

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