家系図を作成していると、「家族のつながりを図にする」ことが目的にとどまらず、相続手続きや外国人支援など、他の業務に直結する場面が多くあります。
ここでは、行政書士としての視点から、家系図の活用方法をご紹介します。
(1)家系図 × 相続
相続においては、「誰が相続人か」の特定が非常に重要です。家系図は、次のような場面で実務的に役立ちます。
●相続人の確定や遺産分割協議の補助資料として
戸籍謄本の情報をもとに家系図を作成すれば、誰が法定相続人かを視覚的に理解でき、誤解や感情的な対立を未然に防ぐ助けになります。
●遺言書作成の補助資料として
家系図を参考にすれば、「誰に・何を・どのように残すか」を整理しやすくなります。特に再婚や養子縁組など、家族構成の変化がある場合にも有効です。
●外国籍の相続人がいる場合の調整にも有効
国際相続では、日本と外国とで制度が異なるため、多言語対応の家系図があると、説明がスムーズになります。相続税や手続きの説明時に、家系図があることで相手の理解を助けます。
(2)家系図 × 外国人支援
外国人の在留手続きや帰化申請などでも、家系図が非常に役立つ場面があります。
●永住許可・帰化申請・家族滞在ビザ申請の際に
家系図によって、親族関係や家族構成を明確に示すことができ、申請書類の整合性を高める補助資料になります。出生証明書や宣誓供述書と照らし合わせるためにも有効です。
●国際結婚家庭や二重国籍の子のルーツ整理に
国際結婚により国籍が分かれた家庭では、家系図が「どの国とのつながりがあるか」を明示でき、将来的な国籍選択や文化継承の基盤にもなります。
●在日〇世のルーツ整理と相続対策
在日韓国人・中国人など、長年日本で暮らしてきた方々が高齢となり、「自分のルーツを残しておきたい」と考えるケースが増えています。家系図は、その人生の整理や相続対策としても活用され始めています。
⊂まとめ⊃専門家による家系図は「信頼性」が違います
行政書士が作成する家系図には、単なる趣味の域を超えた法的信頼性があります。
・戸籍謄本・除籍謄本などの正確な公的資料に基づいた図
・相続人確定のための「証拠資料」としての利用
・ビザ・国籍・帰化などの申請における実務的な活用
家系図をきっかけに、相続や国際的な法務手続きへとつながることも少なくありません。行政書士として、「見える家族のつながり」から「手続きの安心」へとつなぐサポートを提供しています。