(1)在留資格「医療」とは
在留資格「医療」は、次のような活動を対象とした在留資格です。
【対象となる活動】
医師、歯科医師、看護師、保健師、助産師、歯科衛生士等の医療に関する国家資格を持つ者が、日本で医療機関においてその資格に基づいて行う医療業務。
【要件】
・日本の国家資格を取得していること(例:歯科衛生士国家試験合格)
・原則として日本の医療機関に雇用されること
・業務内容が国家資格の範囲内であること
【職種】
・看護師
・歯科衛生士
・臨床検査技師
・視能訓練士など
つまり、鍼灸師・柔道整復師は「医療」資格に該当しません。
(2)鍼灸師・柔道整復師の在留資格について
これらの職種は、日本の国家資格ではあるものの、入管法上の「医療」資格としては原則扱われていません。医療機関内での勤務でも、病院やクリニックなどの医療機関内に併設された部門で施術を行っている場合でも、雇用元が医療法人である場合でも、在留資格「医療」は取得できません。
出入国在留管理庁のガイドラインや過去の審査運用で、「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師は『医療』に該当しない」と明記されています(自営開業の「経営・管理」の手段とがありますが…)。
そのため、他の在留資格での就労が検討されます。
鍼灸師・柔道整復師は、「技能」ビザも「特定技能」ビザも使えません。
在留資格「技能」は、熟練した技能を要する産業分野の業務(例:和食料理人、外国料理人、建築大工、宝石加工など)が対象となります。鍼灸・柔道整復師は「熟練の技能」ではありますが、入管法に定められた「技能」ビザの指定職種リストに含まれていないため、申請できません。
では、在留資格「特定技能」ではどうなのでしょうか?
「特定技能」は人手不足が深刻な14分野で、一定の技能水準・日本語能力を持つ外国人に付与される就労資格ですが、医療・代替医療・施術系資格は対象外です。
したがって、鍼灸や柔整の国家資格を持っていても「特定技能1号・2号」は使えません。
(3)どうしても施術職で働きたい
「永住者」「定住者」「日本人の配偶者等」などの就労制限のない身分系の在留資格の取得を最終的なゴールに据え、中長期的な在留計画を立てるのも一案です。
実は在留資格「技術・人文知識・国際業務」へ申請許可された例はあります。
【事例】鍼灸師資格を持つ外国人が、施術+通訳・教育・事務業務を兼務する形で申請。主たる業務が「通訳・教育」 であることが重要です。鍼灸施術は「補助的業務」として位置づける形です。ただい、入管の職員を説得させるものが必要である。もちろん偽りは処罰の対象となります。